2.魔術師ルアル登場!
お店はボロボロに崩れ、レイトは瓦礫の下敷きになっていたがそれを持ち上げて起き上がる。
「やべえ…またやっちまった……」
すると大きな声が響く。
「こらぁ!!貴様らワシの大事な店を何してくれとるんじゃ!!」
店の店主だが顔を真っ赤に叫んでいた。
「ご、ごめんなさい!」
レイトはすかさず瓦礫に埋もれた荷物を掘り出し逃げた。
「こら待て!!」
店主は、大きな叫び声を上げた。
「金がないから勘弁してくれええええ」
そう叫びながらレイトはこの村近くの森の中に入っていった。
日が暮れ始めた頃、木々の中を走ったレイトは疲れたので、ちょうどいいくらいの草原で寝っ転がった。
「また力の使い方間違った…」
さっきの雷の力は怒ると過剰に出てしまうクセがあった。
過去に、そのことで大変な目に合い、その代償としてお金のほとんどを取られ売れそうなものや食料なども全て取りあげられた。剣はなんとか死守し、その場を収めたのだが取られたものが多すぎて一つのトラウマとしてレイトの中に残っている。
「はぁ…」
ため息をつく。
いったん忘れるために寝ようと思い目を瞑る。
レイトは、目を瞑った脳裏ではいろいろと思い出していた。
それは過去の記憶である。
「じいちゃん!!」
そのじいちゃんは、レイトの育ての親だ。
「レイトか、どうした?…」
そう尋ねるとレイトは答えた。
「薬草を取ってきたんだ!これで元気だしてよ」
「すまんが、薬草などでは私は治せない」
「そんな…」
「私はもう長くはない、自分の死が近づいてるのはわかる」
「そんなこと言わないでよ!俺じいちゃんが死ぬのは嫌なんだ!」
「避けることのできぬことだ。この死はきっと定め、運命とも言うべきだろう……」
寝床で上半身を起こす、
弱々しくかすれてしまった声で話を続けた。
「いいかレイト、お前が10歳になった時、私が渡したあの手紙を持って王都に向かうのだ」
「お金もたくさんある。王都までは距離があるが充分だろう」
「大切に使うんだぞ」
レイトは過去の記憶を思い出し、涙を浮かべ、思わず口ずさんだ。
「じいちゃん…俺お金もうほとんど残ってねえ……」
すると上でクスッとする笑う声が聞こえた。
レイトは驚いて目を開けた。
そこには、青い衣に桃色の髪のツインテール、そして目が青く輝いた少女が、見下ろしていた。
「うわっ!」
レイトは飛び上がった。
その勢いで少女にぶつかりそうになるが、少女は一歩引き下がり、ぶつかるのを防いだ。
「追っ手か!?金なんかないぞ!」
レイトはさっきの騒動で、責任を取らせるために追っ手が来たのかと思ったが、よく見ると自分と同じ歳の少女に見える。
「違うわよ、貴方を追いかけるのに苦労したわ」
少女は追いかけてきたのか少し息苦しそうだが、笑みを浮かべて答えた。
「じゃあ誰なんだ!」
レイトがそう言うと少女は、少し前屈みで胸に指を立て、自分を指した。
「私はね、ルアルっていうのよ」
「で、そのルアルが俺に何のようなんだ?」
レイトが尋ねると、ルアルが不機嫌そうな顔でレイトを見つめた。
「私の名前教えたんだから貴方も教えてよね!」
そう言われてレイトは、少し後退りながら答えた。
「俺の名前はレイトって言う」
そういってルアルは、目を丸くした。
「レイト?変わった名前ね」
レイトはルアルも十分変わってる名前だと思ったが、気を取り直しルアルに尋ねる。
「で、なんのようだ!」
「さっきの騒動をちょうど見かけてね、あなたのことが気になったのよ」
「なんでだ?」
「だってあなた魔術が使えるじゃない!しかも雷の!」
ルアルは目を輝いたようにレイトを見つめる。
「こっちの世界で私と同じくらいの歳で、雷の魔術なんて初めて見た!」
ルアルは愉快にニッコリしているが、レイトにとって何を言ってるのかわからなかった。
「魔術ってなんだ??」
すると、ルアルの表情が固まった。
「え、あなた魔術のこと知らないの?」
「うん…」
レイトは自信がなさそうに返した。
ルアルは何かを考えるように右手の親指と人差し指を顎の下に置いた。
(魔術を知らないってだけなのかな…?たしかに王都から離れた場所ほど魔法の知識が貧しくなるって聞くし…あまり知れ渡っていないのかもしれない)
考えてもわからないと思ったルアルはレイトに質問する。
「じゃあその力は、誰に教わったのよ」
すると意外な答えが返ってきた。
「誰にも教わってない、生まれた時から使えるんだ」
「へ・・・」
ルアルは、口を開けたまま唖然とし、黙り込んでしまった。
レイトは少し困った顔していた。
「とりあえず暗くなってきたし、木の枝集めて、火を起こそう」
レイトは今の気持ちから気分転換しようとして提案した。
「そ、そうね」
ルアルは頷いた。
気がつけば日は落ち始め辺りは暗くなっていた。
レイトとルアルは一緒に多くの木の枝とそれぞれが座るのに良さそうな丸太を用意した。
それから森の中で焚き火ができそうなところを見つけて、枝を燃えやすいように配置した。
「よし、じゃあ、火をつけるか…」
レイトは、そう言って手をかざそうとすると、ルアルが一歩前に出て、腰についてる短い杖を取り先端を枝に向けた。
すると枝は、パチっと音を立ててかすかに赤く光出した。そこからすぐに周りの枝に光が移っていき、メラメラと燃え始めた。
「どう?これが魔術よ」
ルアルは、すごいだろっと言わんばかりの顔をレイトに向けた。
「す、すごい…」
実は始めてみる魔術に驚いていた。
(俺はいつも火をつけようとすると真っ黒になるのに、これが魔術…!!)
ルアルは、少しの間自信満々な顔をやめなかったがレイトも驚いた顔をやめなかった。
2人は、焚き火を中心にお互い丸太を置き座った。
「ふぅ…」
レイトとルアルは一息ついた。
少しの間沈黙が続き、パチパチと木の燃える音が響いた。
お互い少し疲れている。
心地よい暖かさにレイトは思わず眠気に誘われた。
(眠くなってきたなぁ)
レイトは今日の騒動のせいか疲労感がある。
ウトウトしそうになるが、ルアルという少女が気になり彼女のほうを見る。
彼女は膝を抱き寄せ体を暖め、火を見つめていた。
燃える炎がゆらゆらと揺らいで明かりを放ち、それが彼女の瞳をより一層青く光り輝き、とても綺麗に見える。
レイトは思わずその輝きに見惚れてしまった。
するとルアルは口を開いた。
1.修正 輝きとすと置き上げの誤字修正、
第2話でした。いきなり魔術師登場です。
やっぱりファンタジーに魔術師が必要ですね。
これからバシバシ活躍させたい。
気になったこと、誤字脱字があればコメント欄でお願いします。感想も待ってるよ!
コメント
タイトルは第二話、サムネは第2話
違いましたね
以後気をつけます