主要な登場人物
レイト
雷を操れる少年
ルアル
魔法を使う魔術師の少女
リモク村の登場人物
ルシィ
リモク村の宿屋を営む女性。
スバン
ルシィのお父さん。
ニンバス
リモク村の木こりをやっている男性。
実はルシィの幼馴染
前回のあらすじ
ルシィを助けるべく、レイトとルアルとニンバスは、魔物の住処の洞窟へ向かい、魔物に気づかれることなく洞窟内へと辿りつく。
洞窟内は暑くジメジメとしており、肌に嫌な汗がべっとりとつく感覚がある。
道中は思ってたよりも入り組んでおらず、ずっと一本道が続いていた。
洞窟は深くなるほど穴は広がっている。
道にはゴブリンたちが運んだであろう木材が乱雑に置かれていた。
武器にでも使っているのだろうか?そうレイトは考えていた。
また悪臭が漂っている。
その臭いは、腐ったような臭いと血生臭さが合わさったなんとも言えない臭いだ。
3人ともその匂いで気分が悪くなりそうだが、誰も弱音を吐こうとはしなかった。
なぜならこの先に1人で耐えているルシィがいるはずだからだ。
1人でここにいる恐怖は計り知れないだろう。
そう思いながら、一刻も早く助けるために歩く。
青白く輝いた光を頼りに進み続け、ふと疑問に思ったことをレイトが言う。
「全然ゴブリン出てこないな」
ルアルは頷いて小声で返す。
「うん、不思議といないわね。みんな外に出ているのかしら」
それに対して、ニンバスも口を開いた。
「入り口にたくさんのゴブリンが立っていたからそのせいなのかもしれないな」
ルアルの意見に同調しながら、ニンバスも疑問に思うことを話した。
「でも、今まで夜にしか襲ってこなかったのになぜだ?昨日村の人たちが、ここの住処を見つけたせいなのか?」
その呟きに、ルアルは一言返した。
「もしかしたら焦っているのかもしれませんね。ゴブリンも」
そうなのか?と疑問に思うニンバスだったが、ゴブリンの習性がわからない以上考えても無駄だと思った。
ルアルも魔物については詳しくないために、答えを出すことができない。
2人は進んでいると、先頭に立っていたレイトが突然止まって、小さな声を上げた。
「止まれ」
それに少し驚くが、ニンバスもルアルも足が止まった。
「どうしたの?」
そう言ってルアルは、青白く照らされた前を見て驚いた。
腐りかけの人の遺体と人骨がいくつか転がっていた。
頭蓋骨から、どこかもわからない骨、腐った肉の破片までも転がっている。
「う…あぁ」
ルアルがそう言って、後ろに崩れ落ちそうになるとニンバスが支えた。
「なんて場所だ…」
ニンバスもそう呟く。
今まで見たことのない死体に耐性がなかったルアルは一瞬吐き気を感じさせたが、なんとか耐える。
どうやらここが食事の広場なのか、洞窟の中でも、大きく広い空間に入ったらしい。
レイトはルアルの調子を見て言う。
「ルアル大丈夫か?」
それに対してルアルは答えた。
「大丈夫よ…今まで見たことなかったから、少し驚いただけ」
そういうが、ニンバスはルアルが体制を立て直そうとするのに手を貸した。
しかし、突然レイトが叫んだ。
「何か来る!!」
そう言うとレイトはルアルとニンバスを強く押す。
「うわ!」
ニンバスがそう言うと、体制を崩して、ニンバスを下敷きにルアルも一緒に倒れた。
すると同時に何か骨のようなのが、ルアルたちが倒れた真上に飛んでいき、そのまま地面に落ちていった。
すぐさま上半身を起こしたルアルは叫ぶ。
「どうしたのよ!」
ルアルがそう言うが、レイトは黙って目の前の暗闇を見て、剣を構えていた。
「ガフガフフフフ」
そう鳴いて、徐々に暗闇から青白い光が届く範囲に入ってくると、少しずつ姿が見える。
それはゴブリンよりも、背が倍にも高く、大人のニンバスと同じほどの大きさ。お腹は丸く出て、腕の筋肉が人間の倍ほどある。
それを見てルアルは呟いた。
「なにこいつ…」
大きなゴブリンは、こちらを見て泣き声を上げる。
「ガアアアアアア!」
右手には普通よりも大きい棍棒をかざして、レイトたちの方へ襲ってきた。
棍棒を高い位置に構えると、躊躇なくレイトへと振り下げられた。
レイトはすかさず剣を横にして両手で支えながら受け止める。
「…っ!!」
しかし、ゴブリンの棍棒が当たった瞬間、あまりの強さにレイトは後ろに倒れ込んでしまった。
「くっ…!!」
そう言って、レイトは尻餅をつく。
ゴブリンは次の行動に移そうと、倒れたレイトに棍棒を振りかざそうとする。
レイトは、どうすることもできず、ただゴブリンの方へと見上げることしかできなかった。
すると咄嗟にゴブリンへとニンバスが体当たり
をした。
そのまま一緒に倒れるかと思いきや、ゴブリンは倒れることもなく、平然と立っていた。
その姿にニンバスは、唖然とする。
ゴブリンは、そのまま左の拳を握りしめると、ニンバスを殴り飛ばした。
「ぐは!」
ニンバスは、そのままレイトの横に倒れてしまった。
「ニンバス!」
そう叫んでレイトはすぐさまニンバスの肩を叩いた。
「ぐっ…」
ニンバスは、痛みに悶えている。
すると後ろで青い光が見えた。
それはすぐさま赤色に変わり、一瞬にして火の矢が飛んできた。
(ルアルの魔術だ!)
レイトはすぐさま気づいた。
矢は、ゴブリンに直撃すると全身が燃える。
「ガアアア」
ゴブリンも火を消そうと、立ちながら、暴れ回る。
そこですかさずルアルが叫んだ。
「レイト!ニンバスさんを連れて退いて!」
それに対して、レイトはすぐさまニンバスを担ぐと、ルアルの方へと走り、魔物との距離を保った。
周りは魔術の青い光とゴブリンが燃える火の灯りが照らされている。
ゴブリンは倒れて、燃え上がった体を地面に擦るように転がって悶絶している。
周辺に落ちていた木材にも飛び火し、あたりを照らし始めるが、ここは洞窟内でも異様に広く。奥の奥はまだ暗闇で見えない。
その隙を見てルアルは言う。
「今のうちに、ルシィさんを探しましょう!」
「おう!」
そうレイトも頷くとニンバスも口を開いた。
「すまない…レイトくん、俺はもう大丈夫だ」
そう言ってニンバスは、レイトの背から降りる。
心配そうにルアルとレイトはニンバスを見るが、ニンバスは殴られた右胸部分を押さえながら立って言う。
「もう君たちに迷惑はかけたくない、ルシィを助けて、みんなで村まで戻ろう!」
そういうとレイトもルアルも頷いた。
そうしてルアルは言う。
「正直もう慎重に進んでられない。早く進みましょう。」
転げ回るゴブリンを遠目に、ルアルたちは走り出した。
魔術の光が、ルアルたちと共に、あたりを照らしながら奥の方へと進もうとする。
すると、声が聞こえた。
「ここにいる!!たすけて!!」
その声に全員が目を大きく見開き、そうして心の中で思った。
ルシィの声だ!!
どうやら誰か人が来たことを勘付いたのか、ルシィは声を上げた。
レイトはここぞとばかりに走り出した。
その後を追うようにルアルたちもついていく。
「ルシィ!!どこだ!!」
ニンバスが声を上げる。
するとルシィも声を上げた。
「ニンバス!?ここにいるわ!」
声が聞こえる暗い洞窟の奥の方へとレイトたちは、走った。
しかし、暗闇から大きなゴブリンが、もう一体、突然襲いかかって来た。
棍棒を先頭を走っていたレイトに向けて放つ。
それに反応するようにレイトは剣を構えて、受け止めた。
ゴツン!!と鈍い音を立てながら、レイトはまたも後ろに倒れた。
「ぐっ!」
しかしすかさず立ち上がると剣を構えて叫んだ。
「ルアルとニンバスは、先に行け!俺がこいつをなんとかする!」
それに対して、ニンバスは言う。
「そんな!レイトくん危険だ!」
しかしレイトは首を横に振って言う。
「ルシィを助けるのが先だ!そのためこいつは俺が止める!!」
そう言うと、ニンバスがルアルに言う。
「ルアルちゃんが、また魔術を使えば…」
そう言われてルアルは唇を噛んで、少し黙った。その後すかさず杖を構えようとした途端、レイトは叫んだ。
「魔術はいい!ルアルとニンバスはそのまま行ってくれ!」
そう言われてニンバスは戸惑うと、ルアルはレイトに賛同した。
「そうね。ニンバスさん!私たちはルシィさんを助けた後レイトの加勢をしましょう!」
その意見にニンバスは、悩みそうになる。
(ここで俺が戦えれば…)
先ほど殴られた胸の傷が痛む。
正直ニンバスはこの大きなゴブリンに恐怖で立ち向かえない。
それをわかっているからこそ、レイト1人に立ち向かわせることに苦悩していた。
しかし悩んでいる暇はない。
ニンバスはルアルの意見に頷くと、レイトを見て話し出す。
「わかった!ここはレイトくんに頼む。必ずルシィを助ける。」
それにレイトは頷いた。
「まかせた!」
そうしてルアルとニンバスが先を急ごうとすると、ルアルが近づいて新しい魔術の光をレイトの頭上に出した。
そうしてレイトの顔を見て言う。
「絶対に死なないでよね!」
それに対して、レイトはニヤリと笑って言った。
「あたりまえだ!!」
その反応にルアルもニヤリと少し笑って頷いた。
目の前のゴブリンは誰を先に殺そうか考えているのか、3人の動向を見ている。
すると突然ルアルとニンバスは先を急ぐように走り出した。
ゴブリンは先に動き出した2人を追いかけようと、レイトから視線を離す。
そこをすかさずレイトはゴブリンに剣を振るった。
しかしゴブリンは、レイトの行動にすぐさま気づき棍棒で受け止める。
「お前は俺と戦え!!」
そう叫んでレイトは剣を握ってゴブリンの前に立ち塞がった。
実はルアル結構限界です。
あらすじ初めて書いてみましたが、どうでしょう?
余計なら消します。
コメント
いつも楽しく読ませていただいております。
投稿頻度が高くて嬉しいです。
これからも頑張ってください。
応援しております。
ありがとうございます😊
がんばります!