5.リモク村へ到着!
あれから歩き続けて、村の木で出来た門を前にした。
名前はリモク村である。
2人は聞いたこともない村だった。
あたりを見回すと、建物など至る所がボロボロで、人の気配もなく風がなびいているだけである。
どこか荒んでいる。
「なんだか、不安ね」
ルアルがそう言うとレイトは頷き言った。
「とりあえず宿を探そう…」
「うん」
そう言って、村の中を進み始めた。
周りの家には、壁の穴塞ぐように木の板が貼られているのが、よく見かける。
(盗賊にでもあったのだろうか…)
レイトは心の中で思った。
それから少し歩くと、老人の声が聞こえた。
「お主ら旅人か?」
ボロい家の2階の窓から顔を出してこちらを覗いている。
「そうだが、誰だ!」
レイトは、そう答えると剣を握る。
しかし、敵対心があるようなレイトの態度にルアルは、恥ずかしそうにして答える。
「すみません、私たち宿を探してるんですけど」
「……そうか…すこし待っておれ」
そういって老人は、窓を閉じた。
少し待った後、老人は家から出てきた。
「ワシは、この村の村長をしておる。お主ら若いのに、よく来てくれたな」
とレイト達の前の方へ立つ。
するとルアルの顔を見て村長が首を傾げ一歩近づいた。
「うーん、お主どこかで見た気がするのう」
「な、なんですか…!私はここ初めてです!」
少し後退りながらルアルは言った。
その困った様子から本当のことを言っているのだろうとレイトは思った。
すると村長は一歩下がった。
「まあ良い、思い出せんとは、ワシも歳には勝てん」
悲しそうに答える。
「宿を探してるんじゃろ?ついてくるといい」
そう答えると村長は前を歩き出した。
(な、なんなんだ…)
レイトとルアル2人揃って首を傾げた。
歩き出したところルアルは、レイトにこそこそと話しかけた。
「そういえばレイトは、もう少しデリカシーもちなさいよ」
「なんだよ、デリカシーって」
「気配りよ……村の人に、いきなり剣を構えるなんて失礼でしょ…」
ルアルは、そう言ってそっぽを向いた。
ちょうどその時に前を歩く村長が話し始める。
「すまんのう、この村はボロボロで不安だったじゃろ」
「いえいえ!そんなことないですよ」
嘘つけと言わんばかりにレイトはルアルを睨む。
「安心してくれ、ここはお客さんは、危険に遭わせわせん」
村長は答えた後一呼吸置くとまた話し出した。
「ただし、夜は必ず外に出ないようお願いするぞ」
そう聞くとルアルは、疑問に感じた。
問おうとする前にレイトが先に口が開いた。
「どうしてなんだ?」
すると一呼吸置いて村長が言った。
「それはな、化け物が出るんじゃ」
「「バケモノ!?」」
2人して、声高くし荒げた
「そうじゃ、ここ数ヶ月前から夜な夜な化け物が現れて村を荒らすんじゃ、お陰で村は、ぼろぼろ…」
悲しそうに話しを続ける。
「それに女、子供をさらっていくのじゃ」
「なんてこと…」
ルアルが絶句した。
「なら倒しに行かないのか?」
レイトが聞くと、村長は質問に返した。
「今村の男たちが集まって化け物の巣を探しておる、流石に放っておくことはできん」
「そうだったんですね」
ルアルが答えた。
「今や女、子供は安全のために外出を禁じておる」
「それでこんなに物静だったのか」
レイトが言うと村長は頷いた。
「前までは、お客さんがたくさん来ていた村だったんじゃが、化け物の噂が流れてばったりと人も来なくなってしまった…」
とぼとぼ歩く姿は、悲しそうに見えた。
「このまま村が衰弱せぬように、守っていかねばならん」
力強くそう願う意志を感じた。
本気であることをレイトは確信した。
「ワシもこの体がまだ若ければ戦いにいきたいんだがなぁ」
どこか悔いそうに言って足を止める。
「ついたぞ」
横を向き、その前にある建物を見ると、どうやら宿屋らしい
ボロボロの家の前まで村長はドアをノックして声を上げた。
「客が2人来たぞ」
「はーい、お爺ちゃん」
女の人の声が返ってくる。
すると足音が聞こえ、ドアの前まですぐ近づいてくる。
するとドアを開け、若い女性が現れた。
身長は、レイトよりも少し大きいルアルの身長の頭ひとつ半大きいくらいだ。
「いらっしゃい」
見た目は、若く20代くらいだとルアルは、思った。
ルアルは、頷いて挨拶をする。
「こんにちは」
「あら、こんにちは!珍しい!」
お姉さんは、クスッと笑った。
「若いお2人さんね」
「そうじゃ、夜が近くなるから泊めてやってくれ」
「わかったわ」
村長からそう聞くとお姉さんは、頷いた。そして扉を開けた。
「どうぞ、入って」
レイトとルアルは、宿屋に入っていった。
宿屋に入るとお姉さんが振り向く。
「私の名前はルシィよ、よろしくね」
ルシィは挨拶をした。
「ルシィって言うんだな!」
レイトが言うとルアルは、レイトの頭を掴み
「よろしくお願いします。ルシィさん」
レイトの頭を倒しながらお辞儀をする。
「そんなにかしこまらなくていいのよ」
ルシィは、微笑んだ。
「そんな悪いです」
ルアル申し訳なさそうにしていた。
レイトは、ルアルの手を払い除け体を起こす。
「ルシィ俺は、レイトって言うんだ」
次にルアルが挨拶をする。
「セレーネ・ルアルと言います。ルアルと呼んでください」
ルシィはお辞儀する。
「初めて見たわ!とても美しい瞳をお持ちなのね!」
ルシィは興味津々に前のめりで見つめる。
「いえ、とんでもない…」
ルアルは少し恥ずかしそうにしている。
ルシィは、それに気付き慌てて背を伸ばした。
「ごめんなさいね…つい綺麗で…」
申し訳なさそうに謝っている。ルシィにルアルはあたふたしていた。
「もうお疲れでしょうから部屋に案内するわね」
元気に微笑むルシィは、手招きしながら、レイト達は後に続いた。
2階にある一つの部屋に案内され、そこにレイトとルアルは、一泊することになった。
最後に夕食の準備ができたら呼ぶとルシィから一言貰った。
ルシィは部屋を出ていき、レイトとルアルの二人だけとなった。
なかなか就活が忙しくてすみません
投稿頻度上げたいところです…
コメント